閑話:治療について
医学のことは医師が、鍼灸のことは鍼灸師がするべきであるという考えから、1930年代以降に創始された日本の古典的鍼灸(井上系の経絡治療)の立場を取り、症状ではなく、それを起こしている体の状態(根本たる五蔵の変調)そのものを治療対象とします。

具体的には、中国医学の伝統的かつ最も重要な診察法である脈診を軸に、手足の要穴(重要なツボ)を主な治療の場として、五蔵の変調を調える全身的な治療をしていきます。また、ごく浅く接触することを中心とした、撚鍼という気を調えるための最も合理的な古来からの刺法を行います(ですから、肩が痛かったらそこに鍼を刺して電気を流すというような整形外科的な治療は一切いたしません)。

そうすることではじめて、主に精神疲労によるアトピー・花粉症・喘息などのアレルギー疾患や五十肩・ヘルニアなどの運動器疾患、自律神経失調症といった現代医学(薬)では治らない疾患や、そのほか小児鍼(こどものはり)・産前産後の治療(妊娠中のつわり・逆子や安産、産後の肥立ちなど)・不妊治療(男女共)・美容(ニキビ・わきが・多汗症など)・スポーツ選手の体調管理・病気の予防(健康管理)といった多岐にわたる方面に対応ができるのです。

なお、症状を起こしている五蔵の変調は、長年の生活によって築かれてきたものですから、継続的な治療を通して少しずつ五蔵の調和を計っていく必要があります。言うまでもなく、〈長いものはそれだけ長く〉〈短いものはそれだけ短く〉ということになります。

人は、まさにこの画面を見ている最中にも、自然の変化(四季の移ろい)に応じつつ、絶えず五蔵は変化・衰退しています。ですから、自然のみならず、自然に影響され続ける五蔵に支配されている私たちは、本質的には五蔵を補養することで病気を治療し、かつその年齢に応じた健康を保っていくしかすべはないのです。

私たちは、この世に生を受けたと同時に死という終着駅に向かう列車に乗っているようなものです。その列車は、当初は各駅停車として生という駅を出発します。が、途中から何らかの理由によって知らず知らずのうちにその運行が乱れ、時に急行となり、気がつけば特急になっていたということも多々あります(中には予期せぬ脱線もありますが)。今はどのあたりを走り、またその速度はどれくらいであるのか、ということを知り、終着駅までの予定を見直し、その速度をどれだけ制御できるかが、今後を握る鍵となります。いったん暴走してしまった列車は、なかなか止まりませんし、走り過ぎた地点にはもう後戻りはできませんので、その点も留意しなくてはなりません。

症状の改善はもちろんですが、これを契機に長い目でご自身の健康について考えられてはいかがでしょうか。健康の維持こそが最大の予防なのです。

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